医師が勧める健康な身体創り

医学理論に基づく正しいダイエット法の紹介

coffee break 症例提示 以前私が働いていた病院の透析室でタンパク質摂取に関して検討を要するケースがありました。70代の男性で排尿障害から腎後性腎不全になり、バルーンカテーテルを挿入し、尿が出始めたのですがデータが不良Bun(尿素窒素)やクレアチニンが下がらないため血液浄化を導入し、定期的に透析をされている患者さんがいました。しかしこの患者さんに関して私が見たときにはかなり尿量もアップされていて透析をされているためDataもある程度改善されていました。その患者の栄養指導に関して議論があったのですが、患者さん自身、そういう病状のため長期にわたる診療で、食事も適正に取れず筋肉が落ちやせ細っている状態でした。その時、周りの意見から腎臓がまだよくないのだからタンパク質はあまりとらないほうがいいのでは?という意見がありましたが、私は違いました。この場合、慢性腎炎などの糸球体病変ではないし、もともとの原因が腎後性腎不全であり、もう定期的に透析を回しているのだから、窒素バランスを考えてもやはりタンパク質補給が必要だと思ったのです。病気になって食事がとれず、筋力が低下しているのだから、運動をしてある程度タンパク質を補給して体を取り戻す必要があると考えました。しかしその時に考えたことは、意外に臨床の医療の現場でも、皆専門的な立場で考えていてもトータルで栄養学のことはあまり知らないのではということでした。その患者さんの栄養状態は病状、各種臓器機能Etc いろんな状況下で、刻々と変わります。またその時の状態に応じた栄養サポートが必要になります。そこで常に身体を知り栄養を知った上で、きめ細やかに指示を出すことが大事だと改めて思いました