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医学理論に基づく正しいダイエット法の紹介

その37 糖質の過剰摂取のリスクについて (世界的な論文から)

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世界の一流科学雑誌のLancetで先日(2017.8.29)糖質の過剰摂取が、心血管疾患のリスクとなりうることが発表されました

⇒ 『Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study

PURE = The Prospective Urban Rural Epidemiology study

Interpretation
High carbohydrate intake was associated with higher risk of total mortality, whereas total fat and individual types of fat were related to lower total mortality. Total fat and types of fat were not associated with cardiovascular disease, myocardial infarction, or cardiovascular disease mortality, whereas saturated fat had an inverse association with stroke. Global dietary guidelines should be reconsidered in light of these findings. 

この前向きコホート研究は、5大陸18カ国の心血管疾患のない35~70歳の135000人以上を対象に行われました。研究結果は欧州心臓病学会(ESC)の総会で発表され、同時に『 The Lancet 』にも発表されました。

 

検証済み食物頻度アンケートを用いて研究対象者の食事の摂取量を記録し、対象者は栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)によるエネルギー摂取量の割合(%)をまとめて、心血管疾患に関するリスクを検討されています

 

研究の結果、

1.炭水化物の摂取量がより多いことは全死亡リスクがより高いことと関係する。

2.炭水化物の摂取量が最も多い人は、摂取量が最も少ない人と比べて、比例的リスクが28%上昇。ただし、心血管疾患リスクまたは心血管疾患による死亡についての差は観察されなかった。

3.逆に、総脂肪と各種脂肪の摂取は全死亡リスクがより低いことと関係する。

4.飽和脂肪摂取量がより多いことは脳卒中のリスクがより低いことと相関する。

5.脂肪ではなく炭水化物が死亡リスクの上昇と関係しているというPURE研究の結果に鑑みて、世界の食事ガイドラインの修正を再検討するべきである

 

この論文の背景にはいくつかのストーリーが考えられます。これは全ての人に通じることではありませんが、糖質の取りすぎが身体(特に循環器疾患のリスクになる)に良くないことはよくわかります。糖質の過剰摂取はいろんな臓器に負荷をかける可能性があります。また脂質、特にいい脂質を取り入れることが脳血管疾患始め病気の予防にも繋がると言うこともリーズナブルなストーリーです。この研究結果からも、私たちは普段の食事において糖質の取り方についてもう少し注意した方がいいかもしれません。