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医学理論に基づく正しいダイエット法の紹介

その36 糖質編3 糖質の種類について

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昨今、糖質の過剰摂取がいろんな病気を引き起こす可能性が言われていますが、一概に糖質と言っても自然界にはいろんな種類の糖質があり、私達の体の中においてはその代謝や動態も異なります。今回はその糖質の種類について、ご紹介をしていきます。

糖質には糖の基本形となる単糖類、単糖類が結合した二糖類、そしていくつかの糖が結合した小糖類(オリゴ糖そして多数の糖が結合した多糖類があります。それぞれについて簡単にまとめてみました。

 

単糖類 

化学式はC6H12O6と同じにも関わらず、その構造式が異なるために体内においての性質が異なります

・ブトウ糖(グルコース
ブドウ糖は人間が活動するためには欠かせない基本エネルギー源の1つです。私達は細胞内にこのエネルギー体を取り入れ、分解して、エネルギーを取り出しています。また私たちは私達の体の中において常時生命活動を安定して行えるようにいくつかの臓器機能と内分泌代謝機構により血中のブドウ糖濃度を常に一定にしています。 
・果糖(フルクトース)
水に溶けやすい性質で、糖の中では最も甘味が強く血糖値が上がりにくく、代謝が速いため肥りやすいといわれています。 その名の通り果物類に多く含まれていますが、ソフトドリンク(工業的に作られる果糖)などにも使われています。果糖は摂りすぎるとエネルギーとして処理しきれず中性脂肪コレステロールになりやすいといわれています。また発酵の時にはワインなどのように酵母酵素によりアルコールに精製する原料になります

・脳糖 (ガラクトース)
脳糖は乳製品や甜菜などに多く含まれ乳糖を構成する単糖類のひとつです。体内でも合成することができ糖脂質や糖蛋白を構成する成分で栄養性の甘味料といわれています。細胞膜とりわけ神経細胞には必須の成分で脳神経が発達途上の乳児には欠かせません


少糖類(二糖類、オリゴ糖
・乳糖(ラクトース
牛乳や母乳など哺乳類のミルクに含まれブドウ糖ガラクトースに分解されます。
赤ちゃんにとって大切なエネルギー源で、善玉菌を増やし便秘や下痢などおなかの調子を整えます。カルシウムの吸収を良くするなどの特徴があります。ヨーロッパの1部やアメリカの原住民、東洋系、われわれ日本人はこの乳糖を消化する酵素ラクターゼ)が少ない人が多く(日本人の約8割) 牛乳を飲んでも消化吸収しにくい乳糖不耐症と呼ばれます。
・ショ糖(スクロース
主にサトウキビや甜菜などから生成されるショ糖はブドウ糖と果糖が結合していて少糖類を細分化した二糖類に分類されることもあります。 私たちの身近な甘味料である砂糖の主成分でもあり水に溶けやすくショ糖は小腸でブドウ糖と果糖に加水分解され血液から体内に吸収されます
麦芽糖(マルトース)
麦芽糖ブドウ糖が2つ結合したもので、よく知られている水飴の主成分が麦芽糖です。 そのほかにビールの主成分でもあるモルトに多く含まれています。砂糖に比べてカロリーが少なく体への吸収が遅いため血糖値の上がりが緩やかである特徴があり、ダイエットの甘味料として使われることがあります 
・トレハロース
動植物や微生物などいたるところに存在するトレハロースは、ブドウ糖が二つ結合した二糖類。砂糖よりは甘くは無いがさっぱりとした甘さがあり、水との相性がよく保水性も高いため基礎化粧品に使われています。炭水化物・たんぱく質・脂質の乾燥・凍結・保護作用を生かし、加工食品など様々な食品に使用されていて、夢の糖質といわれています。

多糖類
・デンプン(澱粉
穀類やイモ類に多く含まれるデンプンは、アミロース・アミロペクチンに分けられる、性質は若干違うが元は単糖類のブドウ糖が多数結合したものです。
身近なデンプンは、トウモロコシのコースターチ、馬鈴薯の片栗粉、 サトウキビのデンプンを原料とする葛きり、春雨、わらびもちなど。
デンプンを食べると、口の中で麦芽糖に分解され、次に小腸でブドウ糖に分解され体に吸収されます。
・グリコーゲン
グリコーゲンは動物デンプンと呼ばれることもあるほど動物の体内に存在する多糖類で、デンプンに似た構造で単糖類のブドウ糖が多数結合したものです。
グリコーゲンは主に人の肝臓や骨格筋で主に合成され貯蔵されます。特に肝臓には約1日分のグリコーゲンが蓄えられていて、必要なときにブドウ糖に分解されエネルギーとして使われています。

*持久力を必要とするスポーツでは、グリコーゲンローディングといったトレーニング方法があります。(これは長時間の運動により、筋肉内のグリコーゲンが減少することによるガス欠状態を少しでも解消するために、筋肉にとって主なエネルギー源であるグリコーゲンを、事前に出来るだけ多く蓄えておくことを試みる栄養摂取方法)

セルロース
植物の繊維などの主成分で、植物の約3分の1(樹木は7割)を占めるセルロースは炭水化物(糖質)の多糖類に分類されます。
セルロースは単糖類のブドウ糖が多数結合していて、不溶性で水との相性が良いが体内で分解されることはありません栄養としてだけでなく、様々な繊維製品に使用され、最近では代替燃料として注目が集まっています。


*炭水化物(糖質)のカロリー含有量
厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準によると炭水化物の摂取基準は総エネルギーの50%~70%とされています。炭水化物1gあたりのカロリーは4Kcalですので、1日2000Kcal摂った場合、2000Kcal×50%~70%÷4Kcal=250g~350gが1日あたりの炭水化物の摂取基準(1日2000Kcalの場合)になります