医師が勧める健康な身体創り

医学理論に基づく正しいダイエット法の紹介

その43 人間の身体の不思議

世の中には、いくら科学が発展しても解明できないことが山ほどあります。

ダイエットや食事に関しても、いくら食べても太らない人もいれば、全然食べていないのに爆裂に動き続けられるような方もいます。

私も今までそんな規格外の人達に何人か出会ってきました。

私もその事実を否定する気は毛頭ありません。

またこれからそのような特異的な体質?を持たれた健康な人についてもその源について検討してみることもとても面白いと思います。

しかし、私は医者であり、その根本は科学者であるので、現段階においては、立証されている医学生理学に基づくダイエット方法に関してご紹介をして行きたいと思います!f:id:gokurakujiclinic:20190202125608j:image

その42 食べることって何でしょう?

私達は生きる為に食べているのでしょうか?それとも食べているから生きていられるのでしょうか?

ここには解答はありません。

ダイエットのことから転じて、食や栄養、果ては身体の生理機能に立ち戻って考えてみると、生命とは何か?どんな生き方をしていくのか?その根源に行き着くような感じを覚えます。f:id:gokurakujiclinic:20190131130442j:image

その41 糖質6 糖代謝の概略

それでは私達の体内における糖質の動態について簡単にまとめていきましょう。

1.口から摂取した炭水化物や糖質は口腔や消化管内に分泌される消化酵素によって、単糖類(ブドウ糖など)に分解されていきます。

〜 口から食べた炭水化物を細かく糖質に分解していきます。

2. 食べ物が胃を通過し、十二指腸に入り、膵臓からの消化液(アミラーゼ)と混ざって更に細かく分解され、小腸にたどり着くと分解されたブドウ糖は速やかに小腸粘膜上皮より吸収され門脈の流れによって肝臓に到達します

〜 消化や吸収においては、胃、十二指腸、膵臓、そして吸収の場である小腸が大事な役割を果たしています

3.肝臓においてブドウ糖インスリンの作用で肝細胞内に取り込まれグリコーゲンとして蓄わえられ、必要な時に応じてグルコースとして放出されます。余剰な糖質は脂質として変換し、体内に貯蔵されます。また肝臓においては飢餓のような事態においては脂質や蛋白質からブドウ糖を合成(糖新生) する能力を持っています

〜 糖代謝に関わるメインの工場が肝臓と言う臓器です

4. このように、体内には膵臓を始め、インスリンやグルカゴン、その他、糖質代謝に関わるホルモンが多数存在していて、その代謝において密接に関わっています。

〜 糖代謝においてはホルモンの働きも大きく関わっています。

5.ブドウ糖は全身のありとあらゆる細胞で利用されますが、特に利用率が高い臓器が脳と筋肉です。また筋肉は肝臓と同様、ブドウ糖をグリコーゲンとして保持する能力があります

〜 私達は脳や筋肉でたくさんのブドウ糖を使っています。また筋肉にはブドウ糖を蓄える機能があります。そう言う意味においてはやはり運動は大切です。

これが、私達の身体の中でのザックリとした糖代謝の概要です。

私達が身体の仕組みや働きを知ることによってより正しい身体の使い方が分かるかもしれません。

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その40 糖質5 血糖値について

皆さんは血糖値についてご存知ですか?それは書いて字の如く、血液中のプドウ糖の濃度を測定する検査値を意味しています。

昨今、糖尿病などの成人病がクローズアップされ、検診においても、血糖値が調べられ、その検査の意義についてもよく耳にするようになりました。

前述したようにブドウ糖は、人間にとって生命活動のエネルギーの中心的な源となる栄養素です。そして私達の身体はこのブドウ糖の血液内における濃度を調整する凄いメカニズムを持っているのです (そのメカニズムに異常をきたし、血糖の調整できなくなってしまう病気が糖尿病です) 今日、私達の身体の中において、どのように糖質が分解、吸収され、またそれを貯蔵したり、必要に応じて活用される代謝システムが具体的に解明されてきました。

しかしその糖質調整のメカニズムを見てみると私達の身体が如何に驚異的な能力を持っているかと言うことがわかります。

それは、24時間、どんな状態においても血糖値がほぼ一定 (私達がお腹いっぱい食べ物を食べた後も、空腹で飢えている時も)100mg/dl (80〜120mg/dl)の濃度に保たれているのです。

これって本当に凄い事ですよね。私達が生きている間、絶え間なく生命活動を行うために、常に体内でガソリン⛽️切れにならないようにブドウ糖を蓄積しておいて、燃料として供給し続けているのです。

この糖質代謝においては、主に肝臓や筋肉を主とする臓器、また膵臓におけるインスリンやグルカゴンなどの内分泌機能(ホルモン作用)が関与しています。

またこの糖代謝の仕組みについては後程詳しくご紹介したいと思います。

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その39 糖質4 ブドウ糖の代謝経路

前章でも書きましたが、糖質の中で私達にとって最も中心的な位置に存在しているのがブドウ糖です。
私達人間は全身の細胞においてブドウ糖を最も基本的な生命活動のエネルギー源の基本単位として活用しています。

今回は私たちの細胞が如何にそのブドウ糖をエネルギーとして活用しているのかと言うこと解説していきましょう。ブドウ糖が私達の細胞内に取り込まれると細胞質内においては解糖系という代謝経路で分解されます。この分解される過程においてもエネルギーが産生されます。それから、そこで分解されたピルビン酸という物質がミトコンドリアという小器官に取り込まれ、TCA回路(クエン酸回路)という代謝経路に入り、化学反応にて変換されていきます。

私たちの細胞はブドウ糖を解体し変換していく過程においてATP(アデノシン三リン酸)という高エネルギー物質を創り出しています。私たちの身体の全ての細胞はこのATPと言う高エネルギー物質をあらゆる細胞の生命活動として用いています。

つまり糖質という高エネルギー物質を燃焼させ、また細胞内において別の利用しやすいエネルギー体(ATP)に作り変えて、それを用いていろんな細胞が活動して、生命として機能を果たしているのです

*私達の身体は常に生命活動を維持できるように如何なる状況の時も(満腹の時も空腹の時も)安定したエネルギーの供給源としてブドウ糖血中濃度をほぼ一定(100mg/dl)に保つ驚異的なメカニズムを持っています

人間が生きていくためには血糖の維持が必要不可欠ですが、もしかするとある意味、私達は無意識無自覚に、このような生命の基本的な反応経路を持続してワークさせるために働き動き続けているのだけなのかもしれません

このように私たちの身体にとってブドウ糖はなくてはならない大事な栄養素です。昨今糖質制限ダイエットなどの話を聞きますが、生体の本質を知らないと、とんでもなく身体を壊す原因にもなりう兼ねないということを留意したいと思いますf:id:gokurakujiclinic:20171025004855j:plain

栄養から人間を考える

私はこのダイエットを単なる痩せるためだけの、メソッドとは考えていません。私達はタンパク質を始め、脂質、糖質いろんな栄養素を取り、それを自分の血や肉や骨に変えて、またその栄養素を燃焼させて絶え間なく活動しています。

これはダイエットにおいても、医療においても、私達の日常生活においても一緒です。

これから栄養と言う概念を通して、人間とは一体どのような生き物なのか?また生きていくということはどう言うことなのか?より深く考え、その本質について探求して行きたいと考えています。f:id:gokurakujiclinic:20190130080119j:image