医師が勧める健康な身体創り

医学理論に基づく正しいダイエット法の紹介

糖質代謝について

前項でも述べましたが、糖質特にブドウ糖は私達の最も基本的なエネルギーの源であり、私達は糖質を摂取、吸収し、体内に蓄え、常に合成したり分解したりしながら生命活動を営んでいます。私の身体の中では、生命活動の維持のために絶えず絶妙な糖質代謝が行われ続けているのです
昨今、糖質制限だのすすめで糖質が身体に悪いかのような印象も持ってしまいますが糖質自体が悪いのではありません。私達の取り方が間違っているだけなのです
また何らかの身体の支障により、糖質代謝に障害が生じた時には、その取り方にも工夫が必要です

ここでは糖質代謝に関わる身体の仕組みについてご紹介したいと思い明ます

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ご紹介したいと思います

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Tea time ~ このブログの趣旨について

なぜこのブログを開催しているのか?改めて皆さんにその趣旨についてお伝えしたいと思います

それはずばり、食や栄養の本質を追求しながら、本当に体に食事やダイエット法を確立し、それを実践することによって、人がより健康になり豊かで幸せな生き方を探す道標を作ることです

医学や栄養に関する情報が多様化し、いろんなダイエット方法や健康法が唱えられていますが、その真偽を見極めることは容易ではありません。何が本当に正しいのか?何が身体にいいことなのか?そのために考える術が必要です

私たちが健康になるのも、元気になるのも食が基本です               私達の身体も私達の人生も作るのは私達自身以外にはいません

このサイトにおいて今までの私の医者として学んだ知識や歩いてきた経験を振り返りながら、より確かなものをまとめて皆さんにお知らせしたいと思います

それが医者としての私の仕事の一つであり、ライフワークです。皆さんのご参加楽しみにしています

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基礎栄養学 ~ 糖質編 その5 ブドウ糖について

糖質の中で私達にとって最も中心的な位置に存在しているのがブドウ糖です。
私達人間は全身の細胞においてブドウ糖を最も基本的な生命活動のエネルギー源の単位として活用しています。

私達の細胞は細胞質内においては解糖系によりブトウ糖を分解して、その一部がミトコンドリア内においてTCA回路(クエン酸回路)に入り、ATPに変換されエネルギーとして使われています

私達の身体は常に生命活動を維持できるように如何なる状況の時も(満腹の時も空腹の時も)安定したエネルギーの供給源としてブドウ糖血中濃度をほぼ一定(100mg/dl)に保つ驚異的なメカニズムを持っています

このように人間が生きていくためには血糖の維持が必要不可欠ですが、もしかするとある意味、私達はこの機構を維持するために日々いろんな活動をしているのかもしれません
それほどまでに私たちにとってブドウ糖はなくてはならない大事な栄養素です。糖質制限ダイエットなどで、昨今あたかもブドウ糖が悪いものような印象もありますが、決してブドウ糖自体が悪いわけではありません。あくまで私達人間がいかにその大事なブドウ糖お付き合いしていくのかということが問題なのです。

もっとブドウ糖のことを学んでいきましょう

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その38 糖質編3 糖質の基本物質ブドウ糖について

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糖質の種類については前項で、簡単にまとめましたが、その基本構造となる単糖類には、ブドウ糖 (グルコース) 果糖 (フルクトース) 脳糖 (ガラクトースト)と三種類の糖があります。私達はその中において生命活動のエネルギー源の源として、主にブドウ糖を活用しています

これから、その基本エネルギーであるブドウ糖について、お話をしていきます。

私たちは食事により、体内にいろんな糖質を取り入れ、体内に蓄積し、そこから必要に応じてブドウ糖を引き出し、細胞が生命活動を行う際においてエネルギー源として使っています。(後程ご紹介しますが、私たちの身体は必要に応じて脂質やタンパク質からもブドウ糖を作ることができる凄い機能(糖新生能力)も有しています)

最初にブドウ糖の基本構造を表しました。ブドウ糖は炭素Cが6個環状につながった6炭糖の有機物質です。何度も繰り返しますが、私達はこのエネルギー体を身体の中に取り込み、貯めて、使って、絶えず止まることなく、私たちの身体は機関車のように走り続けているのです。もし私たちの身体の中から一切のブドウ糖が無くなってしまったら、私たちの活動は停止してしまいます(それはすなわち死を意味します)

それほどブドウ糖は私たちの身体に無くてはならない必要不可欠な基本栄養素なのです。

ブドウ糖は私達の糖質エネルギー代謝の中心的な物質なのです。

 

 

 

その37 糖質の過剰摂取のリスクについて (世界的な論文から)

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世界の一流科学雑誌のLancetで先日(2017.8.29)糖質の過剰摂取が、心血管疾患のリスクとなりうることが発表されました

⇒ 『Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study

PURE = The Prospective Urban Rural Epidemiology study

Interpretation
High carbohydrate intake was associated with higher risk of total mortality, whereas total fat and individual types of fat were related to lower total mortality. Total fat and types of fat were not associated with cardiovascular disease, myocardial infarction, or cardiovascular disease mortality, whereas saturated fat had an inverse association with stroke. Global dietary guidelines should be reconsidered in light of these findings. 

この前向きコホート研究は、5大陸18カ国の心血管疾患のない35~70歳の135000人以上を対象に行われました。研究結果は欧州心臓病学会(ESC)の総会で発表され、同時に『 The Lancet 』にも発表されました。

 

検証済み食物頻度アンケートを用いて研究対象者の食事の摂取量を記録し、対象者は栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)によるエネルギー摂取量の割合(%)をまとめて、心血管疾患に関するリスクを検討されています

 

研究の結果、

1.炭水化物の摂取量がより多いことは全死亡リスクがより高いことと関係する。

2.炭水化物の摂取量が最も多い人は、摂取量が最も少ない人と比べて、比例的リスクが28%上昇。ただし、心血管疾患リスクまたは心血管疾患による死亡についての差は観察されなかった。

3.逆に、総脂肪と各種脂肪の摂取は全死亡リスクがより低いことと関係する。

4.飽和脂肪摂取量がより多いことは脳卒中のリスクがより低いことと相関する。

5.脂肪ではなく炭水化物が死亡リスクの上昇と関係しているというPURE研究の結果に鑑みて、世界の食事ガイドラインの修正を再検討するべきである

 

この論文の背景にはいくつかのストーリーが考えられます。これは全ての人に通じることではありませんが、糖質の取りすぎが身体(特に循環器疾患のリスクになる)に良くないことはよくわかります。糖質の過剰摂取はいろんな臓器に負荷をかける可能性があります。また脂質、特にいい脂質を取り入れることが脳血管疾患始め病気の予防にも繋がると言うこともリーズナブルなストーリーです。この研究結果からも、私たちは普段の食事において糖質の取り方についてもう少し注意した方がいいかもしれません。

 

その36 糖質編3 糖質の種類について

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昨今、糖質の過剰摂取がいろんな病気を引き起こす可能性が言われていますが、一概に糖質と言っても自然界にはいろんな種類の糖質があり、私達の体の中においてはその代謝や動態も異なります。今回はその糖質の種類について、ご紹介をしていきます。

糖質には糖の基本形となる単糖類、単糖類が結合した二糖類、そしていくつかの糖が結合した小糖類(オリゴ糖そして多数の糖が結合した多糖類があります。それぞれについて簡単にまとめてみました。

 

単糖類 

化学式はC6H12O6と同じにも関わらず、その構造式が異なるために体内においての性質が異なります

・ブトウ糖(グルコース
ブドウ糖は人間が活動するためには欠かせない基本エネルギー源の1つです。私達は細胞内にこのエネルギー体を取り入れ、分解して、エネルギーを取り出しています。また私たちは私達の体の中において常時生命活動を安定して行えるようにいくつかの臓器機能と内分泌代謝機構により血中のブドウ糖濃度を常に一定にしています。 
・果糖(フルクトース)
水に溶けやすい性質で、糖の中では最も甘味が強く血糖値が上がりにくく、代謝が速いため肥りやすいといわれています。 その名の通り果物類に多く含まれていますが、ソフトドリンク(工業的に作られる果糖)などにも使われています。果糖は摂りすぎるとエネルギーとして処理しきれず中性脂肪コレステロールになりやすいといわれています。また発酵の時にはワインなどのように酵母酵素によりアルコールに精製する原料になります

・脳糖 (ガラクトース)
脳糖は乳製品や甜菜などに多く含まれ乳糖を構成する単糖類のひとつです。体内でも合成することができ糖脂質や糖蛋白を構成する成分で栄養性の甘味料といわれています。細胞膜とりわけ神経細胞には必須の成分で脳神経が発達途上の乳児には欠かせません


少糖類(二糖類、オリゴ糖
・乳糖(ラクトース
牛乳や母乳など哺乳類のミルクに含まれブドウ糖ガラクトースに分解されます。
赤ちゃんにとって大切なエネルギー源で、善玉菌を増やし便秘や下痢などおなかの調子を整えます。カルシウムの吸収を良くするなどの特徴があります。ヨーロッパの1部やアメリカの原住民、東洋系、われわれ日本人はこの乳糖を消化する酵素ラクターゼ)が少ない人が多く(日本人の約8割) 牛乳を飲んでも消化吸収しにくい乳糖不耐症と呼ばれます。
・ショ糖(スクロース
主にサトウキビや甜菜などから生成されるショ糖はブドウ糖と果糖が結合していて少糖類を細分化した二糖類に分類されることもあります。 私たちの身近な甘味料である砂糖の主成分でもあり水に溶けやすくショ糖は小腸でブドウ糖と果糖に加水分解され血液から体内に吸収されます
麦芽糖(マルトース)
麦芽糖ブドウ糖が2つ結合したもので、よく知られている水飴の主成分が麦芽糖です。 そのほかにビールの主成分でもあるモルトに多く含まれています。砂糖に比べてカロリーが少なく体への吸収が遅いため血糖値の上がりが緩やかである特徴があり、ダイエットの甘味料として使われることがあります 
・トレハロース
動植物や微生物などいたるところに存在するトレハロースは、ブドウ糖が二つ結合した二糖類。砂糖よりは甘くは無いがさっぱりとした甘さがあり、水との相性がよく保水性も高いため基礎化粧品に使われています。炭水化物・たんぱく質・脂質の乾燥・凍結・保護作用を生かし、加工食品など様々な食品に使用されていて、夢の糖質といわれています。

多糖類
・デンプン(澱粉
穀類やイモ類に多く含まれるデンプンは、アミロース・アミロペクチンに分けられる、性質は若干違うが元は単糖類のブドウ糖が多数結合したものです。
身近なデンプンは、トウモロコシのコースターチ、馬鈴薯の片栗粉、 サトウキビのデンプンを原料とする葛きり、春雨、わらびもちなど。
デンプンを食べると、口の中で麦芽糖に分解され、次に小腸でブドウ糖に分解され体に吸収されます。
・グリコーゲン
グリコーゲンは動物デンプンと呼ばれることもあるほど動物の体内に存在する多糖類で、デンプンに似た構造で単糖類のブドウ糖が多数結合したものです。
グリコーゲンは主に人の肝臓や骨格筋で主に合成され貯蔵されます。特に肝臓には約1日分のグリコーゲンが蓄えられていて、必要なときにブドウ糖に分解されエネルギーとして使われています。

*持久力を必要とするスポーツでは、グリコーゲンローディングといったトレーニング方法があります。(これは長時間の運動により、筋肉内のグリコーゲンが減少することによるガス欠状態を少しでも解消するために、筋肉にとって主なエネルギー源であるグリコーゲンを、事前に出来るだけ多く蓄えておくことを試みる栄養摂取方法)

セルロース
植物の繊維などの主成分で、植物の約3分の1(樹木は7割)を占めるセルロースは炭水化物(糖質)の多糖類に分類されます。
セルロースは単糖類のブドウ糖が多数結合していて、不溶性で水との相性が良いが体内で分解されることはありません栄養としてだけでなく、様々な繊維製品に使用され、最近では代替燃料として注目が集まっています。


*炭水化物(糖質)のカロリー含有量
厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準によると炭水化物の摂取基準は総エネルギーの50%~70%とされています。炭水化物1gあたりのカロリーは4Kcalですので、1日2000Kcal摂った場合、2000Kcal×50%~70%÷4Kcal=250g~350gが1日あたりの炭水化物の摂取基準(1日2000Kcalの場合)になります

その35 基礎栄養学 糖質編2 糖質とは何か?

【糖質とは何か?】 皆さんは私たちが普段食べている糖質とは、どのようなものか?ご存知ですか?糖質はブドウ糖や果糖を始め、いろんな穀物や果物に含まれている三大栄養素のひとつです。

私の見解としては糖質とは太陽エネルギーが詰まった自然の恵みのエネルギー源であると考えています。

生物のすべての命の源は太陽エネルギーから来ていると言っても過言ではありません (太陽がなくなったらこの世の生物は全て死に絶えてしまいます)

私達、動物はその太陽エネルギーを直接、利用することができません。

それが故に常に食べ物を食べることによってエネルギーを取っています。

皆さんもご存知のように、植物は太陽☀️のエネルギーを物質に変換できる光合成と言うスーパー機能を兼ね備えていて、太陽光を浴びることにより、水と二酸化炭素から高エネルギー物質である糖質(副産物として酸素)を生み出すことができます。私達動物にはこの機能がないので生命活動を行うために必要なエネルギーをこの植物が作った糖質を直接または間接的に体内に取り込むことによりエネルギーを獲得しています(生態系全体を見ると光合成で植物が作った作物を虫や何かの動物が食べたり、またその虫や動物を魚やカエルやヘビなどが食べたり、また更に大きな動物がそれらのものを食べたりして、成り立っている食物連鎖です)

糖質は正に植物が作った太陽エネルギーの変換物質とも言えるでしょう。

そして私達人間もこの糖質を摂取し、体内におけるいろんな生命活動に活用して生きています。これからこの大事な糖質のことについてご紹介していきたいと思います。

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